娘がバレエを初めてはや1年半。
最初の頃は、意気揚々と家を出るも、教室に着くととたんに尻込みしてメソメソ。レッスンの終了間際になんとか慣れて、教室を後にする時には「やってやったぜ!」的な、意味不明の自信にあふれていたあの頃。
演目・演技そのものよりも、オペラ劇場やオーケストラピットの雰囲気が大好きで、おめかししては出かけていたバレエ観劇。まだまだ小さな女の子らしい、幼い盛り上がり方だったっけ。
それが、昨夏の発表会ですっかり開眼してしまい、いまや完全なバレエ少女に。クラシックのCDをかければ、いきなりバレエ(大人の目からは「創作ダンス」だが)を踊り出し、ふと食卓の下を見るとバレエシューズを履いて食事をしていたりする。噴出すと機嫌を損ねるデリケートなお年頃なので、オットに目配せをして密かに楽しむ。
クリスマスイブは、娘と新国立劇場に「くるみ割人形」を観に。ヴィシニョーワとマトヴィエンコのパートナーシップを堪能。席は桟敷席でベストとはいえなかったけど華やかなステージが俯瞰でき、幼い子供にはストーリーも把握しやすくてよかったみたい。ヴィシニョーワのマーシャ、かわいかったなぁ。
晦日の晩は、なつかしのミハイル・バリシニコフ「ホワイト・ナイツ」をDVDで。高校生の頃、ABTの来日公演を友人と横浜まで見に行ったっけ。この映画もその頃のもの。私は故・グレゴリー・ハインズのファンだったのだけれど、20年以上経って改めて観てみると、バリシニコフの華やかで活力に満ちたダンスに驚かされる。すごいダンサーだったんだな、と。最近どうしているんだろうか。
ザハロワ+ボッレ版「ジゼル」
お正月は、面白いテレビがまったくなかったので、一家でまたもやバレエのDVD。スヴェトラーナ・ザハロワとロベルト・ボッレがミラノ・スカラ座に客演した「ジゼル」。ジゼルは、娘が初めて生で観たバレエでもあり、彼女の一番のお気に入りの演目。長すぎず、幻想的。超人的な肢体と、お手本のような踊りを見せるザハロワは、もはや「少女漫画」から抜け出してきたような人間離れした佇まい。踊りそのものは「生硬すぎる」と賛否両論あるようだけど、私はそれはそれで持ち味だと思うし、舞台は生ものだからコンディションによるところ大だと思うので、さほど気にしない。特に子供がDVDで観る、と考えれば多少生真面目すぎなくらいの踊りと演出でもわかりやすいものを選ぶほうがいいと思っている。実際、娘はかなり気に入っていて、DVDを見ながら踊らずにはいられない感じだった。生の舞台の迫力や臨場感、瞬間的な美しさは劇場で体感してもらえばいいので、DVDは違う目的で観ればいいと思うのです。
ヌレエフ+フォンテーン版「白鳥の湖」
DVDといえば、映像化された舞台芸術ものを購入するときの基準はもうひとつ。すでに過去のものとなった作品や出演者のアーカイブを選ぶこと。できれば生で観るのが理想だとすれば、もう絶対に適わないものは映像で観るしかないので。娘に請われて「白鳥の湖」も買うことになったが、散々迷った結果、ヌレエフ+フォンテーン版に決めた。ともに物故者の、正真正銘幻のパートナーシップということで所有の価値アリと思いました。もうすぐ届きます。(ついでにベジャール追悼ということで、二十世紀バレエ団のDVDも頼んじゃった♪オットの顔色が今から心配)
パリ・オペラ座のドキュメンタリー「エトワール」
そして翌日は、パリ・オペラ座の舞台裏をリポートしたドキュメンタリー映画「エトワール」のDVDを観た。これ、ものすごーく感動しました。バレエに取材しているけれど、芸術を志すとは、職業を極めるとは、人生の幸せとは、文化の豊かさとは…といったことが濃縮されていて見ごたえがあった。吹き替えがなく、ストーリー映画でもないので、娘には厳しいかと思ったが、ものすごく集中して見入っていた。ダンサーがスタジオでリハーサルしているだけなのに眼を奪われる美しさ。40歳を定年とする国家公務員であり、叙勲対象ともなるオペラ座のトップダンサーたちの実像。完全な階級制度の頂点に君臨するスター=「エトワール」の姿とそれをとりまく人々のありようは、バレエに興味がなくても感銘を受けることと思う。
それにしても、「芸術立国」と標榜するどこかの国では、メジャーなオーケストラやバレエ団員であっても専業では食べていけないという。国家やパトロンの経済的庇護に甘えてばかりでは駄目、という考え方もわかるが、少なくとも優れた芸術家を支援し、後進の芽を育むためにも、国家予算のある程度は、アート関係の箱モノだけでなくソフトの方にも振り分けてほしいなぁと思っちゃった。(知り合いで、フランスに国費留学していた某国立劇場関係者も、「日本って国は芸術音痴、文化音痴ばっかりだから」と、予算確保の苦労と、日本全体の無理解を嘆いていたが、あながち大げさではないかも)
で、この「エトワール」に刺激され、年始早々バレエ公演を予約してしまいました。
●2月:東京国際フォーラムにて「マラーホフの贈り物2008」
ベルリン国立バレエの、いや世界の至宝といわれるウラジミール・マラーホフの定例来日公演。今年はバランシンの「牧神の午後」などが観られます。これは一人で行っちゃう(オットには内緒だけど、S席で…ははは)。
●3月:新国立劇場「カルメン」
目下の注目株&贔屓のソリスト、厚木三杏が主演する現代バレエ。これは酒豪のママ友と観劇します。その後、たぶん飲み。厚木三杏が主要キャストになっている演目は必ず足を運んでいます。思えば、娘と初めて観たジゼルが、初・厚木三杏体験でもありました。途中で尻餅をつく場面もあったけど、あまりに素晴らしくて涙が出た。まだ4歳だった娘も、厚木さんが登場すると前のめりに集中し、袖に引っ込むとだれる、という大変わかりやすい反応を示していた。私はバレエ評論ができるほど詳しくはないけど、とにかく華があり、目を引き付け、音楽とともに心に刻まれた舞台でした。今回は現代的な演出のカルメンだけど、すごく楽しみ。新国立劇場って、値段もリーズナブルだしさ。もしハズシても損した気はしない。
贔屓のソリスト・厚木三杏さん
●5月:Bunkamura Orchard Hall 「パリ・オペラ座バレエ ル・パルク」
「エトワール」である、エマニュエル・ルグリの公演日を選択。これはオットと2人で。思い切ってS席行きました。ちょっと懐に響いた…。どうしても観ておきたくて。いつかは本拠地・ガルニエ宮で観劇するのが夢だけどチビがいるうちは無理。パリに行くと思えば安いもんだ(と自分に言い聞かせて)。どうか配役変更がありませんように!
●6月:新国立劇場「白鳥の湖」
先の「ジゼル」にも出ていたザハロワは、今期の新国立劇場シーズンソリスト。「白鳥の湖」は別の国内バレエ団のを見に行ったことがあるけれど、いまいちでした。娘のたっての希望でザハロワの出演日を申し込む予定。新国立はB席でも場所によってよい席が取れてリーズナブル、ハコにもムードがあるのがいい。子連れ観劇の場合は2階桟敷席を選びます。2席1列しかない場所を選んで。急にトイレに行きたくなったり、質問を耳打ちされても、ヒソヒソと説明して他のお客に迷惑がかからないから。
そして!8月にはBunkamuraに「エトワール・ガラ2008」がくるよ!まだ予約できないけど、これもぜひに。嗚呼。
来年はバレエの発表会イヤーなので、あまり観劇に贅沢ができない(発表会って、お金がかかるから)けれど、今年は「よい演目を見る」ということを惜しまずに楽しみたいなと思っている。
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