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2012年6月14日 (木)

人生の節目?

会社を起こして10年。
ムスメの誕生を機に、激務の職場復帰をあきらめて独立したのが会社設立のきっかけだった。

大きな志も目標もなく、ただただ、平穏な家庭運営のエンジンになればよいと思って作った会社だった。いや、会社でなくてもよかったくらいの話で。
これまでも、クライアントの支払いが遅れて銀行の残高がヒトケタ万円とか、ムスコの出産で3ヶ月まったく引き合いなし⇒ブルーとか、逆に仕事が重なりすぎて質を荒らしてしまい、二度と依頼がこなくなったこととか、母の介護と死別で仕事への意欲が完全に失われてしまって腑抜け状態になってしまったこととか、それによって翌年は大赤字を出してしまったこととか、本当にいろんな危機を乗り越えてきた10年だった。

ほんとに、よくやってきたなと思う。

若い頃から、フリーランスのひとたちが50代にさしかかって勢いを失い、時代に乗りきれず、一線を退いていく姿を見てきたし、ブティックサイズのスタジオや事務所が、ちょっとした景況の変化に揉まれて、まるで波間の落ち葉のように翻弄され、水没していくのを見てきた。だから、自分は会社など持つまい。「一国一城の主」「自分の看板で勝負する」なんて野望に巻かれまい。そう思ってきた。

で、気づいたら10年。33歳で会社をつくり、いま、43歳。

世の中はどんどん難しくなっていく。

精確に言うと、世の中とか経済の動きは必ずしも悪い方向に向いているわけではないと思っていて。個人的には、しかるべき方向に落ち着こうとしているようにも感じる。「縮小均衡経済」とかね。
ただ、既存の枠組みを前提として仕事をしてきた立場からすれば、会社経営という意味では、自分たちの会社、いや業界は先細りだな、と考えていた。

実際には引き合いもあるし、向こう5年10年はなんとかなるのかもしれない。でも、その先は?
そう考えると、やっぱりものの考え方そのものを変えなければ意味がないな、フレームワークを変えないとな、とここ2年ほど思ってきた。ぼんやりとだけど。

2年ほど前、ふと「今からでも、自営ではなく雇用してもらう、っていう手はあるのかな」と、ふざけて採用会社のエントリシート(という名の人材値踏み表)に現況を入れてみたことがある。つまり、自分という人間をデータ化するということ。

酔狂な話だけど、興味深かった。だって、気づけば40歳すぎ。資格をもっているオットはともかく、私の場合、自分の経験や職能をペーパーにすると、何も「取り柄がない」ってことになるんだもの。本当に、変な話、ずーーーーっと主婦一筋でした、っていう40代女性と、ほぼ同じなんだもの。

学歴、無名の私立一貫校(大学は、世間相場的には三流校ってことになるらしいし)。職歴、企業勤務経験は少なくほぼフリー。資格、普通自動車免許とMaster Scuba Diverのみ(笑)。40代、子持ち、家持、外見も特徴なし。ザ・ふつーのオバサン。これまでの仕事の経験、質、量、すべて文字にするとほぼ価値ゼロ。なのに、これまでの仕事の質・量と収入を考えると「どこでもいいです」とはいえないんで、需要と供給の間にはものすごい乖離が生まれる。

ああ。これが、世に言う「リストラされた中年男性が裸一貫で"労働市場”に放り出された時に直面し、打ちのめされる"ロスト・アイデンティティ"というやつなんですね。いまさらですけれど。

私の場合、面白半分にやってみて、それでもけっこうびっくりしている。しかも、なんだかんだで打たれ強く、沽券もさほどない女。それでも「へーへー。そーかいそーかい。どーせ、二束三文ですよ」と悪態つきたくなる悲惨な「値付け」。

もしこれが、一家の大黒柱で、リストラされて自尊心も傷ついていて、しかも切羽詰まっていたなら、本当に自我が崩壊しそうなショックかもしれないな、って心底思った。

そんなことがあって、オットとも、ぼちぼち「これからのこと」を本気で勘定に入れた地図を描かないとね、とはなしていたときだった。
これまで一緒に仕事をしてきた人たちは、経済力・経営力のある人たちだったが、私達にとってはかなり深刻な看過できない問題があり、チームとして組むのも潮時だなと感じていた(これについてはいつかまた)。

いま、ずっと一緒に仕事をしてきた企業から、中に入ることを誘われている。社員として。経営に関わる人間として。
実は6〜7年前にも一度誘われたことがある。その時は、会社を作ってすぐだったし、子どもたちも小さかったし、母の病気のこともあったから。先方もまだ先代がご健在で、新参者が入っても活躍できる状況ではなかったと思う。

いまのこの時機は、先方にとっても、私達にとっても、機が熟したってことなんだと思う。

また細かい調整事項は残しているけれど、基本的には、そのようにするつもり。かなり近い将来に。
ここはまだ若い会社で、先代から引き継いたことで、新しいフェイズに入っている。
クライアントとしてつきあっているときから好きな会社ではあった。クラフツマンシップを大切にしているグローバルカンパニー。もちろん、会社だから、いろいろな課題はある。だけど、だからこそ期待されているということも、何を期待されているのかも含めて、気持ちは踊る。

私たちの会社も、そういう意味で、ひとつの時代というか、ひとつの役目を終えて、次の段階にきたのかもしれない。終ったのは当初の役目であって、会社が終ったわけではないので。

ちょっとばかし、寂しいんだけど。本当は。前向きな気持ちと、後ろ髪引かれる気持ちと、両方。

節目って、そういうことなんだと思うけど。


会社に対する愛着はあるから、これは別途活動用に残して細々とは続けようと思っているけれど。

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