ETS手術を受けました
ついに、内視鏡外科手術(ETS手術)を受けた。昨日入院して、今日退院。1泊2日のプチ手術入院。
手掌多汗症とつきあって(自覚してから)36年。以来ずっと「触れ合い」だの「手の温もり」だのってものとは無縁の人生。齢40にして、やっと「掌」を意識せずに生活できる。
自分史上5指に入る出来事といってもいいくらいの出来事。オット以外にはだれにも知らせず、「検査入院(人間ドック)」と偽っての入院。ムスコは保育園のお泊り会。ムスメは同じマンションのお友達のうちにお泊り。
手術時間は片方ずつ10分程度、前後の麻酔処置時間を加えてても1時間程度。念のため当夜は入院するよう指示されているけれど、翌日からは日常生活をしていいそうだ。
実際には、説明されたとおりの手術・入院内容で、あっさり、さっぱり。
しかし、実は外科手術は生まれて初めての経験なもので、なにしろ怖い。歯医者でブルっちゃうくらいの恐怖症だし。手術室まで自分で歩いていくし、手術台にも自分で乗るし。
笑気麻酔が効いてくる間の変な感覚も覚えてるし、術後の気管抜去の感覚も覚えてる。できることなら、外科手術はもう二度としたくない。
「翌日からふつうに生活できる」とは聞かされたけれど、実際にはそうもいかず。
麻酔が覚めてからは、とにかく肺と背骨が痛い。脇の下も痛い。(片肺の空気を抜いて、しぼませて空間を作ってから、内視鏡と電気メスで、脊椎脇の交感神経を焼き切るらしいので)、術後の肺の痛みの方が辛いみたいだ。咳をしたり、深呼吸をすると、背中が「バリバリ」って破れそう。脇の下と乳房の下にできた、内視鏡の挿入口の傷も、3ミリ程度らしいけど、皮膚の下が炎症を起こしているみたいで痛い。
気管挿入のせいだかで、喉は痛いし、胸やけもしている。
なんにしても「簡単な外科手術」なんてものはないんだな、と実感。甘く見てはいけない。
代償性発汗は覚悟の上。足の裏と、ひざの裏はやや汗ばんでいる感じだけど、掌も顔も脇の下も、ほてってはいるものの、まったくのさらさら。驚異的だ。普通の人には、当たり前すぎて意味すらわからないだろうけれど、これまでの30年以上の悩みはなんだった?
退院直前検査のレントゲン室の前で、同じ症状で手術入院していた48歳(と言っていた)の女性と目があい、軽く会話した。彼女も「ネットで情報を得るまで、こういう病気があることも、手術(根治)方法があることも知らなくて、ずっと一人で悩んでいた」と。「私もですよ。40歳になるまで、こういう選択ができる日が来るなんて考えたことなかった」と答える。
名前も何も知らない人なのに、お互いにちょっと涙ぐんで言葉に詰まってしまった。「大変でしたよね…」という共感と労いが、言外に漂った、よい時間だった。これからは、彼女も私も(代償性発汗の不便はありながらも)、我が子や、仕事や、日常のあらゆる場面で、手の汗を気にせずに暮らしていけるのだと思うと、感慨深いものがあった。よく考えてみれば、手掌多汗症の人と、面と向かって思いを共有した(告白した)のも始めてだった。
手はまだほてって、若干むくんだ感じもあり、決して快適爽快とはいかないけれど、気持ちはすがすがしい。脇の下の引きつれも、肺の割れるような痛みも、かなり辛いけれど、時間がたてば治るだろう。
保険は適用されるし、経済的・身体的・社会的負担も最小限だ。医学の進歩とはすごい。
次回外来は9月。
その時には、「子どもの場合、いくつから受けられるのか」を聞いておこうと思う。子どもたちにも、明らかに症状が遺伝してしまっている場合には、「体の準備が整ったら、ちゃんと治せるよ」と希望を示してやりたいから。15歳すぎないときびしいのではないか、と個人的には思うけれど、それでも年頃になった時に、臆することなく「触れ合い」「手のぬくもり」を感じられる人生は約束してやりたいと思う。
しかし、痛いなー。
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