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2009年6月 9日 (火)

ペンディング人生一掃

月曜日にはログつけよう、と決めていたのに、昨日は挫折した。

そもそも、金曜日の夜、寝入ったムスコの両腕両足に妙な発疹発赤を発見。膨らみのない赤いブツブツは、懐かしい「突発疹」にそっくり。両腕は真っ赤に腫れあがり、ほっぺたも真っ赤。すぐにネットで調べると「りんご病」の症状にぴったり。そういえば、保育園の掲示板に「流行ってます」告知が貼ってあった。リンゴ病はウイルス性の伝染病だけど、症状が出る頃には急性期を過ぎているそうで、見た目は激しいけど、もう手の打ちようはないのだそうだ。ムスメはかかったことがないので、初めての体験。

熱もないし、食欲も便通も睡眠もふつう。ただし、ほてりとか、かゆみがあるのか、機嫌はいまいちで、ぐずぐずベタベタいらいら。何かと難癖をつけては駄々をこねて、体調がすぐれない親はいずれも辟易。ムスメはいたって元気。

考えてみると、オットも先行してリンゴ病にかかっていたのかも。熱と体の痛み以外は目立った症状がなかった。しんどい体をひきずって直接町医者に行ったら「保健センターに電話してから来院したんですか?」と冷やかに断られて、そこで初めて「すわ、新型インフルエンザか?」と戦慄したくらい、ぬるい認識だったけど、海外渡航や大阪出張はおろか、在宅生活でほとんど外部の人間と接触していない私たちが罹患するとも思えず。

インフル検査は陰性、他に思い当たることもなく、ムスコの発症を目の当たりにして、消去法的に「まちがない」と確信した次第。

で、肝腎の私も、「この家族は何としても守る」などと息巻いておいて、日曜日には自分がダウンした。全身がだるくて、筋肉がこわばるような感じで。慢性の肩こり(特に左)が、左半身全部と、後頭部から首筋に張り付いたような辛さ。体温37.1℃。平熱が36℃程度なので、微熱でも辛い。

「私もリンゴ病?」と思ったけれど、結局熱は微熱のまま。全身倦怠感とこわばり感だけが残り、異常な肩首こりをほぐしている間に、首筋にぐりぐりしたものを発見して慌て、近所のクリニックを受診。リンパ節が腫れていたらしい。膝の裏とか、脇の下とか、いろいろごりごりしているみたい。原因は不明のままだけど、平素気になっている愁訴感を説明したら、女医さんから「甲状腺機能を一度調べてみましょう」と一言。

そういえば、以前もアナフィラキシーショックの原因を調べて特定できず、消去法的に甲状腺機能の問題を指摘されて調べたことがあった。その時は「若干、機能が低め」という程度で経過観察だったんだけど、40歳も超えたし、ちゃんとしらべておくべき、と踏む。

この1年ほどで急激に太ったこと。慢性的に体の重さだるさを感じること。精神活動もどちらかというと停滞気味だったこと。のぼせ。ほてり。むくみ。体温調節や発汗異常などなど。生活環境に負荷が多かったこともあるし、もともと月経前緊張症(PMS)があるので、一概に原因を特定できはしないものの、体の傾向として把握しておいたほうがいいこともあり。

血液検査の結果は来週に判明。

ちなみにむくみやのぼせは、婦人科で処方された「カミショウヨウサン」っていう漢方薬を飲み始めてから、若干緩和されてきたみたい。心配された副作用もいまのことろほとんどなく、ほぼ快調。完全にフル活動する前に、これまで気になっていた体の不調はなるべく治しておきたくて、婦人科・歯科・神経内科・皮膚科プラス、成人検診などなど、あらゆる検査診察をかたっぱしから予約・受診中。

今週水曜は、母の看護中に折れた歯のメンテナンス。

今週土曜は、四谷の某総合病院にて、「手掌多汗症」の受診。物心ついてから、ずっと気がかりの種であったこの症状は、私の成育過程で心身に大きな影響を与えてきたもので、「これさえなければ性格も人生も変わっていただろうに」と思う最大の要因だった。

家族以外に打ち明けたこともなく、ひとに悟られないように細心の注意を払ってきたがゆえに、正確形成には無視できない影を落としてきたものだから、匿名ながらもこの日記に示すのもかなり迷ったけれど、これも自分の人生・人格の一部として向き合わざるを得ない段階にきた。

って、気づいて決断するのが遅すぎ。本当は、せめて、子どもを授かった時点で「スキンシップ」の重要性を直視して、対処法を考えるべきだったと思う。上のムスメに「お母さん、お手手、つなごう」と乞われても「ごめんね。お母さん、お手手つなげないから、スカートの裾を握っててくれる?」と、やんわりかわしたことは数え切れず。きっと幼い心を傷つけたことだろう。

が、過ぎたことを悔いてもしかたなし。今からでも、とにかく「変えよう」と思ったんだから。

母の終末期は、筆談や言語コミュニケーションがおぼつかなくなってきていて、「触れ合う」「手を握る」といったスキンシップ自体がコミュニケーションの根幹だった。その時はもう、こちらも必死だったから、「手に汗をかいているのに、触れたら気持ち悪いだろうな」などと考える暇もなく。むしろ、しっとりした掌に触れて「この手は、●●?」と、母が私を識別してくれる「個性」にしてくれたことは、「変えよう」と前向きになれたきっかけになっている。

「手掌多汗症」なんて言葉は、私が十代のころには一般的じゃなかった。そういう病名はあったのかもしれないが、ネットもない時代、素人が自分で調べられる手だてがなかったし、親に言っても、医者に言っても「精神的なもの」「気にしすぎ」と一蹴されて終わりだった。

「気にしすぎ」で、これほどまでに社会生活に支障が出るものか。これほどまでに悩むものか。そう思うと、十代になってからの私の心はずっとどこかで重かった。うらわかい乙女には重い心の枷だと、おばさんになった今でも思う。

「シザーハンズ」ならぬ、「スウェットハンズ」。

#シザーハンズを見た時、あまりに共感して泣いた。

フォークダンスが嫌だった。遠足のとき、2列に並んで手をつないで移動するのが嫌だった。女の子同士で手をつなぎたがるような「女の子っぽい子」が嫌だった。年頃になって、男の子から手をつなごうと促された時も、げらげら笑って拒み、相手も自分も傷つけた。

自転車や鉄棒、縄跳び、運挺、テニスや野球…。「手で握る」スポーツは、とっととクリアしたくて、ひとの見ていないところで猛練習して、さも「たった一度でできました」と思われるように苦労した。小学校5年のとき、やむを得ず手をつながなくてはならない体育で、私と手を握ったあとに、相手の子がこっそり手を自分の体育着で拭っているのを見て、「二度と他人と手をつながない」と決意した。その晩は、布団のなかで泣いた。

折り紙や工作、手芸などの手仕事は、汗で材料が湿ってヨレヨレになるのが嫌で、手を抜いてやっつけた。粗雑な仕上がりでも、ばれなければそれでよかった。本当は細かい作業は好きだったし、手先は器用だったと自分でもわかっていたのに。ピアノも、家での練習は苦痛ではなかったけれど、先生の前で鍵盤を濡らすのは辛かった。いろんな先生に「君はがさつだな(笑)」と苦笑されても、一緒にへらへら笑うだけでやり過ごした。

中学・高校のころ、医師や心理職になりたいなぁ、なんて幼い希望を抱いていた頃も、「ひとのからだに触れる」ということへの抵抗があって、結局、ひとやものではなく「こと」を相手にする仕事を選ぼうと、人文系、マスコミへ進んだ。それでも、ポジフィルムやイラスト原稿を素手で触れることができず、白手袋をして扱い、先輩から「慎重だなぁ」と笑われたし、原稿に赤字を入れる時に湿したくなくて、わざと人のいない深夜に残業して作業した。昼間に赤入れをしなくてはいけないときは、「忙しいと赤字の入れ方が雑」と叱られた。

ワープロやPCは、私には福音だったが、カメラは触りたくなかった。なるべく、一人で完結できる仕事。他人と身体的接触をしなくてもいい生活。そればかりを望んで大きくなった気がする。知的生産活動に重きをおいている「成人」だけで成立している生活であれば、何も問題なかった。

結婚し、子どもを授かり、親や子の体に触れずに生きてはいけない生活になって、少しずつ考えを改めなければならなくなったけれど、それでも決心するまでには結局20年以上かかったことになる。

「このまま、自分の掌についてはあきらめて、他者との濃密な触れ合いを諦めて生きていくしかない」と飲みこんだ関係と行動の限界を、自分で広げてみようと思っている。

なんでもかんでも、母親の死に紐づけてきっかけとするのは、ちょっとやりすぎだとは思うんだけれど、「変えようとして変えられなかったこと」を、今度こそ変えてみる理由にするなら、お母さんも文句は言わないんじゃないか、と勝手に思っている。

ムスメもムスコも、この体質を受け継いでいる可能性は大。せめて、彼らの自我が確立しはじめる頃には「人格形成の枷」にならないよう、相談には適切に乗れる程度の情報と経験(できれば自分で治療をひととおり受けておけばなお安心)は得ておきたいので。

そういう意味では、先端治療の症例が多い病院にかかっておくことは、どちらにしても先々無駄にならないと思うし。

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